【重伝建】
河原町芹町


多様な建物が一体となったまちなみ



河原町・芹町地区は、彦根城下町の南東部に位置しており、繁華街の一部として賑わいました。彦根城下町と中山道とを繋ぐかつての“脇街道”に面して多くの商店が立ち並び、折れ曲がった街道と交差するいくつかの小路によって独特の地割が残されています。

慶長9(1604)年、彦根城の築城に伴い新たな城下町の建設が開始されましたが、当初は多くの渕や沼のある湿潤な土地が広がっていたといいます。そこで、市街地を南北に横断していた善利川(→現:芹川)を約2キロメートルにわたって付け替え、琵琶湖に直流させることで一帯の排水を改善するとともに、周辺の低地へ土砂を投入し、大規模な埋め立てが行われたと伝えられています。もとの河道であったところは埋め立てられて城下町の一部とされました。
河道を地割へ反映した名残で、カーブの多い街路が特徴
こうした大土木工事によって彦根の城下町は計画的な地割が可能となりました。他方で、善利川の旧河道を埋立てて地割りした川原町地区は、城下町の計画的に整備された他の道とは異なり、折れ曲がった街路が特徴となっています。また、川原町(→現:河原町)の地名も善利川の旧河道に由来するものだと云われています。


河原町芹町地区は、南東に位置する芹町と、北西に位置する河原町とで性格の異なる町です。
芹町は彦根の商業エリアから1歩奥まったところであり、閑静な住宅街の性格を持ちます。間口の広い町屋が軒を並べ、静かな時間が流れています。
町屋は多くがきれいに整備されており、中にはサッシなどを交換した建物もみられます。多くは現役の住居として活用されている様子です。
比較的新しい本二階の町屋。芹町では江戸時代のものと思われる厨子二階から中二階、明治建築と思われる本二階まで、多様な形態の町屋が見られます。



河原町は、彦根銀座町の商店街をはじめとする商業集積地区に隣接しており、商店の立ち並ぶ賑わいのある街並みが見られます。
彦根銀座は、1930年に開業したマルビシ百貨店を皮切りに栄えた歴史ある商店街で、長く彦根市の商業の中心として栄えました。現在では彦根駅周辺へと中心地は移りましたが、人並みは絶えずまだまだ活気があります。河原町でもなお多くの建物が商店として活用され、伝統的な町屋から洋風建築まで幅広い建物が混在しています。
街並みの入り口に位置する『滋賀中央信用金庫 銀座支店』。1918年の建築で、登録有形文化財に指定されています。柱型に沿った縦長の窓がなかなか洒落ていて、街角のアクセントとして親しまれています。
彦根駅から離れた位置にある銀座地区、また河原町地区には再開発の波は訪れることはなく、今でもレトロな雰囲気が漂っています。
写真のような看板建築も散見され、雰囲気の醸成に一役買っています。
河原町にある特徴的な台形の町屋。これは河道に合わせた脇街道と、城下町の碁盤の目状の小道が交わることで生まれた地割で、河原町ならではの光景です。
台形町屋の向かいにある立派な蔵は出口酒造さん。古くは井伊家から御用を受けたという由緒ある酒蔵です。



クセス
近江鉄道本線 ひこね芹川駅下車 徒歩約3分
東海道本線 彦根駅下車 徒歩約15分


彦根市河原町芹町地区伝統的建造物群保存地区保存計画
https://www.city.hikone.lg.jp/material/files/group/4/hozonkeikakusyo.pdf
彦根市
https://www.city.hikone.lg.jp/kakuka/rekishi_machizukuri/8/2_1/2/4580.html


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