スエード靴をオイルバケッタ風に加工する


痛んだスエード靴が大変身


こんにちは、桜木です。
本日はスエード靴を自宅でオイルバケッタ風に加工する方法を書いていこうと思います。

オイルバケッタは、ヌバックのような起毛素材に対して、油性クリームをもって毛を寝かせてテカリを出したものです。水を弾く強靭さと、荒れくれた風合いが特にブーツにぴったりの素材です。クロケットアンドジョーンズなんかだと、新品からすでにバケッタ加工ヌバックのモデルもあります。

バケッタ加工にするメリットは2つ。
1つ目は単純にかっこいい。バケッタ風にすることで芯が入っているトゥやヒールカップは鏡面仕上げにもできますし、奇麗にグラデーションをかけてあげると渋く仕上がります。
左が右になる

2つ目は痛みが気にならないこと。オイルバケッタはそもそも荒れくれた感がかっこいい素材ですので、汚れやテカリがあっても、何ならクラックがあってもそれはそれでかっこよく仕上がります。
スエードは毛並みが整っていれば優しく優美な素材ですが……
汚れのあるスエード
半面傷が入ったり、毛が寝てテカリが出たり、色むらが生じたときに取れる手段が少ないのが難点ですよね。
てかったスエード
そういう、汚れがひどくてもう使わないかな……というスエード靴を加工して遊べますし、うまく仕上がれば現役に復帰できるかもしれません。


デメリットは、一度加工してしまうと元のスエードには戻せないということです!
加工する場合は、覚悟を決めてやりましょう。



意するもの

・スエード用栄養補給クリーム
・油性クリーム
・ペネトレイトブラシ
・豚毛か化繊のブラシ

さらに鏡面で仕上げたい方は、
・アビィレザースティック
・ワックス

を用意します。



ざ、バケッタ加工!

準備が整ったら早速実践。今回はオークションですでに半分バケッタ化した靴を入手しましたが、一から仕上げる場合もやることは同じです。(でも根気はもっと要ります)

1.保湿

まずはスエード栄養補給スプレーで保湿してあげます。普通のスエードのお手入れと変わりません。
まんべんなく振りかけたら終わり。バケッタ化した後の栄養補給も、基本的にはスエード同様にスプレーがいいと思います。

2.油性クリームを塗る

次に油性クリームをまんべんなく塗ってあげます。クリームはアッパーと同系色で、かつやや薄めのものがおすすめ。
スエード系の素材は色むらができやすく、均一にリカラーするのはプロでも難しいといいます。どうしても色を濃くしたい場合以外は薄い色を使いのが無難だと思います。
ペネトレイトブラシを使ってしゃこしゃこ塗っていきます。

3.ブラッシング

クリームを塗り終わったら、豚毛か化繊のブラシでブラッシングします。するとやんわり光沢がでてきます。
こんな感じ。毛羽立ちの残し具合はクリームの量である程度調整できます。


4.鏡面の下地造り

ここからは鏡面仕上げにする場合のみの工程です。
鏡面をかけたい箇所の毛を、コードバンのケアで多用するアビィレザースティック(水牛の角)でさらに寝かせていきます。角でゴリゴリ行くくらいで容赦なく圧をかけます。
写真のようにトゥが滑らかに光を反射しだしたら終わり。ちょっと痛んだようにも見えますが、この後ワックスをかけるので問題なし。
なかなかうまくいかない場合は、ワックスを1層乗せてあげて、その上からアビィレザースティックを使うとうまくいきます。


5.鏡面仕上げ

トゥにワックスを載せて仕上げ。右がポリッシュ前、左がポリッシュ後です。
両方仕上げるとこんな感じ。
せっかくのバケッタ加工ですので、こんな感じでグラデーションを付けてあげるとかっこいいと思います。
今回はしませんでしたが、ヒールカップも芯があるので同様に鏡面仕上げが可能です。



完成です。今回はジョンロブのRUSSELをバケッタ加工にしました。これは先述の通りすでに半分バケッタ状態の中古のロブを調達してきたわけですが、ロブをバケッタにするとは前所有者もなかなかクレイジーですね。
バケッタの醍醐味は、やはりグラデーションだと思います。1枚の革でスムースから起毛素材へのグラデーションは、苦労して鏡面に仕上げないと得られませんから、喜びもひとしおです。
サイドビュー。バケッタ風スエードは“荒れている様がええねん”という世界観ですので、雨だろうがお構いなしにがしがし履けるのも嬉しいですね。



すび

今回はバケッタ加工について紹介しました。
結構根気のいる作業ではありますが、難しいことはありません。履き古したスエード靴も、リユースショップで投げ売りされているジャンクのようなスエード靴も、まだまだ可能性があるということです。
ご家庭に眠っているスエード靴があれば、ぜひ試してみてくださいね。




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