【重伝建】
上賀茂


統一された土塀が美しい町。



上賀茂は、世界遺産にも登録された上賀茂神社のすぐ東に位置する門前集落です。概ね室町時代には集落が形成されていたようです。
上賀茂神社から流れ出る明神川に沿って神官の屋敷である社家が立ち並び、土壁の連続する独特な街並みを見せています。
各住居には庭園が設けられ、庭園の木々が壁越しに顔をのぞかせた非常に緑が豊かな光景です。庭園の水や生活用水には明神川の水が利用されていますが、水は汚すことなくまた明神川に返すことで、住戸間で水を循環させる連帯がとられているいるそうです。
かつては西村家庭園が公開されていましたが、2020年で公開が終了となっているため現在は見ることができません。
神明川に面した住居には土橋が渡されており、これもまた街並みのアクセントとなっています。
各住居は土橋、土塀、門構え、庭園の木々といった各構成要素がほぼ統一されており、なかなか一体感のある景観です。川沿いということもあって、散歩をするには心地よい街だと思います。
妻面に見られる懸魚と豕扠首
社家建築の特徴として、懸魚(けぎょ)や豕扠首(いのこさす)といった妻飾りが挙げられます。懸魚は妻面の頂部から吊り下げられた装飾板のことで、豕扠首は合掌形に組んだ木材の中間に束(つか)を立てる装飾のことです。
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いずれも寺院建築によく見られるもので、住居で採用されているのは社家住宅ならではといえます。

通りの南側に沿って流れている川は明神川と呼ばれています。明神川は、賀茂川から“御手洗川”として分岐し、その後賀茂別雷神社の境内を経て上賀茂まで流れてきます。神社を出た川は神聖な川として、明神川の名がついたものと思われます。
御手洗川は賀茂別雷神社境内では別名“楢の小川”と呼ばれ、百人一首98番にも読まれた風情のある川です。神社は京都市外でも北のはずれにあることから、夏でも涼しい日が多かったのでしょう。
街並みの東端部に位置する藤木社。上賀茂神社の末社で、明神川の守護神として信仰されています。社に寄り添うように佇む巨木は樹齢500年ともいわれる立派なクスノキで、京都市指定の保存樹となっています。
藤木社を過ぎたのちは住宅地に吸い込まれ、以降は生活用水として活用されています。最終的には北山の植物園へ至り、その水源となっているようです。




クセス
京都市営バス 上賀茂神社前バス停下車 東へ徒歩1分

出典
京都市
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000281306.html


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