【銘靴図鑑】Saint Crispins
Tassel Loafer


“らしい”造りのローファー



オーストリアのウィーンにて、靴デザイナーのマイケル・ローリック氏が創業したサンクリスピン。デザイナーが主宰とあって、靴の造形美を追求したようなコレクションが魅力のブランドです。

今回はその真骨頂とでもいうべき靴を一つ紹介します。



トップラインに沿って、またヴァンプ部にもUの字にパーフォレーションが施されたタッセルローファー。ローファーにメダリオンで装飾を入れたスタイルは60~70年くらいの英国靴でよく見るもので、クラシカルな印象を受けます。
パーフォレーションは全てイミテーション仕上げ。すべて1枚革から切り出したホールカットシューズです。
そしてこのシームレスなヒールカップ。その見事さといえば、サンクリスピンを買う方は50%くらいここが目当てなのではないかと思うほど。
つるんとしたヒールと光り輝くレザーとは相性が抜群です。それにしてもこの革、ワックスを載せているわけでもありません。なんでこんなに光るんでしょう。オイルが多いんでしょうかね。
ヒールカップのやや内側、歩き姿ではほぼ目につかない位置に継ぎ目があります。
土踏まずの部分は縫いではなく木釘で留められているようで、綺麗にくびれています。全体的に曲面のみで構成はされていますが、要所でメリハリがついていて眺めて飽きることがないですね。
アッパーはムラのあるブラウンカーフ。ブラウン基調ですがグリーンも混ざっているような、深みのあるカラーです。切り株にちょっと苔が生えているような感じ。クラシカルなパーフォレーションとの相性が非常に良いです。
サンクリスピンは手染めのレザーを使っているモデルもあるそうなので、このムラ感は手染め故でしょうか。
横顔。タンの部分が長く取られているのは東欧の血筋でしょうか。デザインがヴァーシュとよく似ています。その分、タンのパーフォレーションにもきちんと表現の場が与えられている感じです。
英国ブランドでは、ここまでタンが立っているモデルはなかなか見ないですよね。








0 comments:

コメントを投稿

TOPIC