【女子革靴図鑑】
CROCKETT&JONES


程よいカジュアルさ


今回はコーデへのなじみの良い革靴、クロケットアンドジョーンズを紹介します。
クロケのレディースは無難に無難を重ねたようなデザインで、革靴コーデに不安のある方でもきっと履きこなせるはず。



ロケットアンドジョーンズとは?
1879年創業の、英国を代表する靴ブランドのひとつ。靴作りの町として有名なノーサンプトンに本拠地を置いています。ブランドネームは創業者のチャールズ・ジョーンズ氏とその義理の兄弟、ジェームス・クロケット氏のファーストネームから採られています。
元々有力ブランドのOEM請負で実力をつけたブランドで、現在でも幅広くブランド別注を受け入れています。現在英国で別注を受けているのはクロケットとあとはトリッカーズとアルフレッドサージェントぐらいで、セレクトショップで見かける英国靴といえばまずクロケットではないでしょうか。
かつてはチャーチより高めの価格帯でしたが、チャーチがどんどん値上がりしたため現在は逆転しています。しかし、過去の名残で中古相場はチャーチより高めです。



デル紹介

ASHFORD

カントリーチックなルックスのフルブローグ、アッシュフォード。Lala Beginでも取り上げられたレディスクロケのアイコン的モデルです。
クロケのレディースといえばやっぱり、このシボとフルブローグの組み合わせ。カジュアルなルックスですが、意外と軽めのスカートみたいな、綺麗なコーデにもよく合います。
カジュアル靴でもトリッカーズやパラブーツとは異なって、綺麗なシルエットが前面に出されているのが大きいのでしょう。
クロケといえばダイナイトソール。
シボ革で、ダイナイトのダブルソール仕上げとくれば、雨の日や砂利道でもへっちゃらです。


OAKLEY

Vチップモデルのオークリー。スムースレザーのVチップといえば、綺麗目なカジュアル革靴の定番です。
横顔はやや背が低めで、ボリュームは抑え目。同じようなモデルでは、レディースでもパラブーツのアビニョンやJ.M.ウエストンのハーフハント等がありますが、それらよりもドレッシーな仕上がりです。
ドレスでもカジュアルでも対応できれば、それだけコーデの幅も広がってきます。クロケはこういうちょうどいい塩梅を狙ってくるのがお上手ですね。


ANNA

Uウイングのアンナ。なかなか変わり種モデルですが、過去には国内でも取り扱いがあったようで、トレーディングポストでの紹介記事もまだ見ることができます。
Uウイングだけでも珍しいのですが、加えて純正でリボンレース付き。そしてこの大きなメダリオンに、不思議なカラーのアッパーと、突然変異でも起きたような変わった靴。
クロケットらしくはないのですが、とっても可愛らしい靴です。
ソールはラバーで、ボリューミーな外観ながらとっても軽い仕上がり。スニーカーと同じくらいの軽快さです。女性の中には重い革靴を長時間履くのは苦痛だという方も居られるでしょうが、きっとこの靴なら大丈夫でしょう。
レディース靴では造りを簡素にして軽さを取るという設計思想は、クロケットアンドジョーンズの前身にあたるスワンシューズ時代からみられるもので、長年の伝統ともいえそうです。

そういえば、主として定番モデルを作りつつたまに変わったモデルを出してくるのもスワンシューズと似ていますね。



ロケットアンドジョーンズの魅力

クロケットアンドジョーンズは、需要に応えた靴造りが上手です。そもそもクロケは有力アパレルブランドのOEM製造を主として発展してきたブランドですので、アパレルブランドから求められるデザインについての知見が溜まっているんでしょうね。
無難にかわいいのがいいところ
例えば先ほど紹介したアッシュフォードは、カジュアル風味・綺麗なシルエット・可愛らしさ・ごつさなどの要素がきれいにまとめられているので、ワンピースと合わせてもデニムと合わせてもしっくりくるのですよね。こういう潰しが効くデザインはクロケが得意とする分野だと思います。
裏を返せばこれといって尖った特徴がないとも言えますが、やっぱりアパレルアイテムは使いやすいに越したことはないですよね。

あともうひとつの特徴は、レディースモデルに歴史があるというところ。
クロケのレディースの源流は少なくともスワンシューズを買収した1940年代まで遡り、80年もの歴史があります。歴史があるということはそれだけラストも安定していますし、永く女性に愛されるだけの機能性も兼ね備えているのです。
これはクロケのVチップシューズ、レディースのOAKLEY(左)とメンズのETON(右)の並び。靴の全長は全く異なりますが、トップラインの長さは実はほとんど変わらないことがわかると思います。
レディース靴はトップラインを浅くしたり、アイレットを詰めたりして“らしさ”を出していくわけですが、クロケはしっかりと実績があるだけあって、メンズのパターンをレディースラストに落とし込むのはとっても上手だと思います。一見するとメンズと同じように違和感なく仕上がっているんですが、よく見ると女性らしい、そこのバランスが魅力ですね。
あと、クロケットのレディースは(モデルによりますが)ソールの材料を簡素なものにするなど、なるべく軽い造りにしようという設計思想が見られます。女性の場合靴が重くて革靴を断念する方も居られるようですのが、クロケで軽いモデルがないか、一度探してみるのもよいかもしれません。
ちなみにメンズだとこんな感じです。レディースよりどことなく腰高に見えますよね。



イズ感

使いやすいデザインで、女性に寄り添った造りと初心者にも向いているクロケですが、唯一の難点がサイズ表記。SWANシューズ時代から続く独自表記になっているのです。
表記は数字2桁+ウィズで、ざっくり75で24.5cmほど、ウィズは基本的にBかCのいずれかです。Bの方が細身。
例えばこのペアは55C。サイズはだいたい23cmくらいです。
個人的に、クロケットのレディースはもう20足以上見てきましたが、いまだにサイズ感はいまいちつかめません。非常に分かりにくいのでUK表記に統一していただきたいものです。
可能であれば試着してから購入したいところです。


手方法

国内ではトレーディングポストで取扱いがあります。2022年にはレディースでウイスキーコードバンのモデルがリリースされるなど、モデル展開にも積極的。気になる方はトレポスに行くのが一番早そうですね。
メンズならばビームスでも取扱いがあり、結構初心者向けな身近な高級靴なのですが、レディースとなるとトレポス以外にここという店は思いつきません。価格もお手頃ですし、もっと取り扱いが増えればパラブーツ並みに人気が出るポテンシャルがあると思うのですけどね…。



すび

クロケは使いやすくていい靴です。一目でクロケとわかる様な強烈なアイコンがあるわけではないのですが、その分コーデをまとめてくれる縁の下の力持ちのような存在。
革靴でも着回しを重視したい方には特に良いのではないかと思います。

たまに、紹介したANNAや、ウイスキーコードバンモデルなど変わった靴を投入してくれるんので、初心者から玄人まで、飽きることなく付き合っていけそうです。




出典
Trading Post
https://tradingpost.jp/kyoto/5169/
https://tradingpost.jp/osaka/56461/



0 comments:

コメントを投稿

TOPIC