【どこ製?】Brooks Brothersの製造元の見分け方


靴の真価を見極める……?


ブルックスブラザーズといえば米国を代表する紳士服ブランド。もちろん紳士服も豊富に取り扱っていますが、ブルックス自身は靴の製造能力を擁していません。オールデンをはじめ、欧米の名だたるブランドからOEM提供を受けて販売しているのです。

今回はブルックスの靴を製造しているメーカーの中で、比較的よく見かける5メーカーの判別方法を記事にしてみました。






Alden製

米国の雄、オールデン製のペア。日本では“コードバンの靴といえばオールデン”という印象が強い方も多いかと思いますが、それは欧米諸国でも共通認識のようで、ブルックスでもコードバンのペアは殆どがオールデン製です。他にも、ドイツのエドワードマイヤーなどもコードバンはオールデン製が多かったりします。
特徴的な“表鳩目”
モデルは“オールデンがブルックスに売り込んだことをきっかけに世界的に広まった”と言われるタッセルローファーや、ブルックス専用のラストを用いたプレーントゥ・フルブローグシューズが中心です。ブルックス別注は表鳩目であることが多く、外観上のアクセントになっています。
スムースな仕上げのヒールカップ
後は、ヒールカップが継ぎ目のない一枚仕上げになっているのもオールデンでは珍しく、ブルックス別注ならではといえます。
オールデンの特徴はインソール表記。2列表記で、下段にモデル番号が入る表記は、オールデンネームのペアとそっくりですね。ウィズは2段表記ではなく、一般的な1段になっていますが、差異はそれくらいです。
他にも、ヒールクッションの形でも何となく見分けられるかもしれません。これは熟練のものでないと難しいかもしれませんが……笑

ちなみにオールデンは基本的にOEM提供は行っておらず、原則的に別注のダブルネームという形での提供しかしていません。その(おそらく)唯一の例外はブルックスブラザーズで、これは1884年創業のオールデンに対して、ブルックスは1818年と圧倒的に先輩であることや、そもそもオールデンが世界的に名を挙げたきっかけがブルックスとのパートナーシップにあったことなどから、特別な取引先だと考えている証左ともいえそうです。



Allen Edmonds製

米国ではオールデンと双璧をなすブランド、アレンエドモンズ。安価(特に中古価格)な割に履き心地がいいので、普段使いにはもってこいのブランドです。
ブルックス別注のパークアベニュー
ブルックスでもカーフの靴はアレンが主として製造を担っているようで、パークアベニューをはじめ、フィフスアベニューやマクネイルなどの定番モデルもラインナップされています。オールデンがブルックス専用モデルを用意しているのとは対照的ですね。
アレンエドモンズの見分け方は特徴的なインソール。なぜかオリジナルとは異なるソールなのですが、この周囲に白いドットが並んだようなインソールを見たらアレン製とみて間違いありません。クッション性が高く、別注でもやはり履き心地にはこだわっているようです。
インソールはブルックス単独ネームのものが多いですが、まれにダブルネームのペアもあります。
ライニング表記はオリジナル同様、やや丸っこく若干斜めのフォントです。オールデンより若干ボールドになっています。Eウィズであれば3をひっくり返したような独特の書体で簡単に見分けがつきますが、それ以外の文字は慣れですかね。
ソールもなかなか特徴的で、元からハーフラバーが貼り付けられたような仕上げになっています。
こちらは同じソールを採用したアレンエドモンズ純正のペア。特に最近の靴だとたまに見かけます。



Crockett&Jones製

ブルックス傘下のブランド、Peal&Coネームのペア。Peal&Coは英国のビスポークブランドとのダブルネームが発端となっただけあって、製造も英国メーカーが担っています。
インソールにPeal&Coの表記があり、ライニングが2段書き、上段右にサイズ表記、下段にラスト番号(2~3桁)があればクロケット製です。これが上段にラスト、下段に製造番号(4桁)があればエドワードグリーン製ですが、グリーン製のPeal&Coはめったに出てこないので気に留めなくてもよいと思います。
クロケット製のペアはなめらかなインソールやヒドゥンチャネルのソールなど、ハンドグレード相当の上質な仕上がりです。
ソールはヒドゥンチャネル
別注クロケは本家ハンドグレードよりも中古価格が安い傾向があるので、いいペアを見つけられたらお買い得かもしれません。
ちなみに、ブルックス別注のクロケットはサイズがUS表記になっていますので、購入時は注意が必要です。



Alfred Sargent製

英国で手広く別注を手掛けるアルフレッドサージェント製のペア。日本ではマイナーですが、過去にはガジアーノ・ガーリングのOEMを担当するほどの実力あるメーカーです。クロケットと同様に主にOEMを得意としてきたブランドなだけあって、全体的な雰囲気もよく似ています。
こちらも英国ブランドだけあってPeal&Coネームの生産を担当。
ライニング表記の情報量がやたらと多いのが特徴で、特にMADE IN表記を手書きでライニングに記しているブランドは多分サージェントだけだと思います。
ソールはダイナイト仕上げなことが多い印象。総じてクロケットとよく似ています。



Church’s製

英国製の中でも珍しいチャーチ製のペア。概ね3都市チャーチ時代に製造されたもので、プラダ傘下となった4都市以降はさすがに担当していないだろうと思います。チャーチがOEMに靴を出すのは割と珍しいのですが、過去にPeal&Coの量産靴の生産にあたっていたようで、その付き合いで製造していたのではないでしょうか。
手元にあるペアはブルックスの単独ネームです。
見分けるポイントはソールで、チャネルに沿ったミシン目や左右に打たれたサイズ・ウィズ表記の刻印などが旧チャーチと同様の仕上げになっています。
これが本家チャーチです。特にサイズ刻印は特徴的でわかりやすいですね。
ライニング表記は手書きではなく青色のプリントで、かつなぜかユーロサイズ表記なのであまりチャーチ感はありません。恐らく書き間違えのヒューマンエラーを防ぐためだと思いますが、それならオリジナルの靴も印刷にしたらいいのに。チャーチ感はないですが、知識があればライニングでも見分けはつきます。
“いかにも”なヒールカップ
モデルはブルックス専用のものと思われ、小ぶりな装飾やシームレス風ヒールカップなどブルックスらしさが目立ちます。ほかにも表鳩目のプレーントゥモデルもあり、全体的にブルックスカラーが濃く出たラインナップです。
直線的なパーフォレーションも米国風
チャーチもオールデンと同様に基本的にOEM供給は行っていません。基本的にOEMに出すときはグループ傘下のチーニーが担当していることが多く、チャーチ製のOEMは私が知る限りブルックスだけです。



ちなみに、今回紹介した以外にもチーニーやエドワードグリーン、シルバノサセッティ製のペアも存在する他、エルサルバドル製などの安価なラインもあります。



すび

良質な革靴は製造できるメーカーが限られるだけあって、OEM提供が盛んな業界です。特にブルックスブラザーズは強力なブランドだけあって、多くのメーカーから提供を受けています。特にオールデンやチャーチのOEMはブルックス以外では見たことが無く、超一流ブランドの強さを感じさせられます。
そんな靴の真の実力を推し量るのには、製造元を判別するのが手っ取り早い方法です。それに、製造元を判断できるようになると中古市場で靴を購入する際の判断基準にもなりますし、何よりも楽しいですよね。

今回記事にした特徴は、ブルックスのみならず他のブランドへのOEMでも応用できる内容ですので、ぜひ参考にしていただければと思います。





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