MY VASS SHOES
1足目


初めてのVASS



ロローグ


今からちょうど2年前の2019年10月、メルカリで靴を探していた私は

『ヴァーシュ スエード ダブルモンク』(65000円)

なる靴を発見。ワインレッドで雅な光沢をもつスエードで作られたダブルモンクシューズに、私はくぎ付けになりました。

当時VASSといえば、なんか聞いたことがある程度で詳しくは知らなかったのですが、それなりにしっかりしたブランドでかつ見た目がいいとなればもう買うしかないわけです。

しかし、6.5万ですよ。当時買った高額なもので古着で買った2万円くらいの靴しかもっていなかった私には、ポンと出せる価格ではありません。
というわけで同じモデルがないものかと探し回った結果、見つけてきたのがこのペアです。

ちなみに、メルカリで見つけたVASSは結局買ったので、3足目あたりで紹介します。




MODEL:Double Monk
MATERIAL:BORDEAUX SUEDE
LAST:F-Last

ワインレッドのダブルモンクというだけで、すでにかっこよさがあふれ出ています。この靴を購入した当時の私は、WEB上でたまたま見つけたジョンロブ チャペルのレッドリザード仕様(60万円もする!)に憧れを持っていましたが、その欲求を満たすにも十分な雰囲気です。

Fラストを採用しており、どこか英国風情のある柔らかなラウンドトゥと、ウゴリーニ氏の手によるイタリアらしい軽やかさが融合した、他に類を見ない仕上がりになっています。個人的にこのFラストは、革靴の完成形のひとつだと思います。

甲からトゥにかけての曲線使いと、立体的なヒールカップが美しい横顔。女性靴を思わせる浅めのトップラインと、ヴァーシュの技術力でシェイプされたウエストが、軽やかで色気のあるイタリア風味の源でしょうか。
それでいてヒールカップがしっかりかかとをつかんでくれるので、踵が浮かないのもうれしいポイントです。

ヴァーシュのスエードの素晴らしいところは、エイジングの美しさ。
個人的にスエードの皺に沿って色褪せが生じるのが好きではなくで、ちょっとみすぼらしいと感じることもありました。しかし、この靴にはこれが正しいスエードのエイジングだと、有無を言わさぬ雰囲気が宿っているように思います。何なら、トゥについた切り傷さえも美しい。

この荘厳な雰囲気は、例えば苔むした倒木の様なイメージに近いと思います。傷まで含めて魅力だと思えるのは、履物として理想的ではないでしょうか。

ジョンロブ チャペルと同じく、後ろに流れるようなバックル配置。
ウエストのコバの攻めっぷりは、今もハンドソーンウェルトを継承するヴァーシュだからこそなせる技です。アンダー10万でこの惚れ込むような仕上がりを期待できるのは驚異的ですね。

ウェルトのステッチは白で、カジュアルな雰囲気。
個人的にダブルモンクというとお高くとまったイメージがあるのですが、このぺアには不思議と温かみがあります。もちろんスエードだから、という要因も大きいと思いますが、細部のカジュアルなディテールの積み重ねも大きいと思います。
私はこの靴で、ディテールの違いによる印象差と、わざわざビスポークで自分仕様の靴を作る意味を学ぶことが出来たと思います。

ネタばらしになりますが、3足目にほぼ同じモデルが出てきますので、雰囲気を比べていただければと思います。

バックルは真鍮カラーが程よくくすんで、これまた温かみのある雰囲気に一役買っています。革靴の魅力として“エイジング”を挙げる方は少なくないと思いますが、まさに美しくエイジングしたスエード靴と言っていいのではないでしょうか。
ちょん切ったような四角い端部処理や、ちょっと不揃いな二重ステッチもまた可愛らしいですね。

ヒールカップにはヴァーシュのアイコニックディテールであるひし形のステッチが入っています。バーガンディにピッチの細かい黒ステッチの組み合わせも可愛らしくてよい感じです。



すび


ボルドースエード、とても楽しい素材です。
比較的色気の強いドレッシーなカラーながら、カジュアルで温かみのあるスエード地。コーデに迷うことは必須ですが、ぜひ挑戦して欲しい素材です。

この記事を書いていると、久しぶりに新しいボルドースエードの靴を作りたくなってきました。

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