【ロゴ変遷】
J.M.WESTON

 

なかなか出てこないフレンチビンテージ



こんにちは、桜木です。
本日はフランスを代表する超高級靴、ジェーエムウエストンのロゴ変遷を纏めました。


J.M.WESTONとは……
フランスを代表する高級靴ブランド。1891年にエドゥアール・ブランシャール氏がリモージュで創業した創業したシューズメーカー「ブランシャール社」を前身としています。1922年にはパリに初となる直営店を構え、その際に「J.M.WESTON」に改名しています。
日本においてはゴルフや、シグニチャーローファーといったカジュアルモデルが大変人気です。特定のカジュアルモデルが突出して人気という構図は、同じフランスのParabootと重なるところがありますね。



旧旧ロゴ

60年代以前に使用されていたと思われるロゴ。ブロック体のふっといロゴに、勢いのある下線といかにも古風な雰囲気。現在のウエストンの洒落た一級品みたいなロゴとのギャップが面白いですね。
このロゴは滅多に目にすることはできません。WEB上で検索してもほとんど見つからないと思います。
なお、この写真のペアはもしかすると復刻品の可能性もあるのですが、当時のロゴと寸分変わりません。私も自信をもってこれは60年代製だなと思えるウエストンには出会えていないのですが、京都の古靴屋moraleさんでディテールからほぼ間違いなく当時のものと思われるペアが出品されていましたので、以下に参考として貼り付けておきます。




旧ロゴ

オールドウエストンといえば、まずこれでしょう。セリフ体ロゴの周りを曲線で囲った上品なデザイン。フランスの最高級品にもふさわしいデザインではないかと思います。
70年代から2000年前後まで四半世紀ほど使われていたようで、数もそれなりに出てきます。探せば割と簡単に見つかるのではないでしょうか。
この年代のペアで、かつロシアンカーフが使われたものは愛好家の間で非常に人気があります。ボックスカーフであってもきめ細かくいい革が使われていますが、ウエストンに関しては現行でも十分に質が良いので特に古いペアにこだわる必要もないかもしれません。とはいえ、ビンテージ靴はやはりロマンがありますよね。



ロゴ

2000年頃から使われていると思われるロゴ。つい最近まで約20年に亘って使用されており、これまた息の長いロゴです。少なくとも1995年までは旧旧ロゴが使われていたようですが、以降の詳細な変更時期までは分かりません。
ロゴタイプのみと非常にシンプルなインソールスタンプで、合理性や視認性を重視する現在の風潮をかなり先取りした変更だと思います。尤も、セリフ体なので視認性は良くないのですが。
このあたりの出来事といえば、2001年にミッシェル・ペリーがデザイナーに就任しています。彼はレディースシューズのデザイナーで、フェミニンな靴つくりで知られていますので、イメージにも近いのではないでしょうか。となれば2002年ごろからこのロゴに切り替わったのではないかと推測します。




この写真は旧旧ロゴのものです。現行とほぼ同じですが、現行だと右上の®がありません。

行ロゴ

恐らく2019年から使われている現行ロゴ。と言っても、実質的に一世代前のロゴに戻った形となりました。このあたりの出来事といえば、2018年にミッシェル・ペリーがデザイナーから退任しています。やっぱり旧ロゴはミッシェル・ペリー絡みなんでしょうか。
1世代前のロゴへの振り返りは、ウエストンらしさを表現するという意味では非常に良い選択だとは思いつつも、やはり時代の風潮には逆行している感が否めません。これを機にジョンロブみたいなサンセリフのブロック体ロゴとしても良かったようにも思います。
このロゴになったことで旧旧ロゴとの見分けが難しくなりましたが、ライニング表記の情報量が当時とは異なるので、全体的な雰囲気で見分けることは可能です。しかし、本格的に中古市場に現行ロゴが出回りだしたら、古靴を買う際に注意する必要がありそうですね。


SYLVESTRE VINCENT

90年代ごろのウエストンには、“SYLVESTRE VINCENT”のロゴが入ったペアがしばしばみられます。
このSYLVESTRE VINCENTは、ウエストンの前身となった革靴ブランドのひとつ。Wikipediaに拠れば1974年にウエストンに購入され、傘下に入ったブランドですが、そのソースは見つからず、どこまで信用できる情報なのかは不明です。どなたか紙ベースでも情報をご存じでしたら教えていただきたい……。
そんなVINCENTですが、1990年代までウエストンのセカンドブランドとして生き残っていたようで、写真のような楕円のロゴはウエストン傘下に入ってからのペアです。とりあえず楕円のSVロゴが出てきたら、90年代ごろのウエストン製と考えてよさそうです。

関連記事 SYLVESTRE VINCENTの靴



FCTORY SECONDS

ウエストンのファクトリー品のロゴです。わざわざファクトリー品用に専用のロゴを用意しているブランドも珍しいと思います。
ウエストンは芸術の最先端を行くフランスのブランドだけあってか、サスティナブルプロジェクトにも熱心なようで、WESTON VINAGEも勢力を増しつつあります。時代背景まで考えれば、今は本来疵物である『セカンド品』をわざわざ買う、という行動そのものが価値あるものなのかもしれません。



すび

いかがだったでしょうか。
ビンテージ靴がポンポン出てくる米靴と違って、仏のビン靴を探し出すのは至難の業です。何かの拍子で手に入れた場合は、ぜひ大切にしてください。




NEWYORKER MAGAZINE
https://www.ny-onlinestore.com/shop/pages/magazine-fashion-shoes-12175-.aspx

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