【革靴紹介】
旧チャーチの定番モデル


往時の定番モデル4選!


こんにちは、桜木です。
紳士靴の中でもクラシックシューズは、流行の影響を受けにくいものと言われています。
そうはいっても、近年パラブーツのシャンボードが爆売れしているように、各時代人気のモデルというのはあるようですね。

今回は私が過去に多くの旧チャーチを見てきた経験から、往年の英国で人気だったであろう定番モデルを4つ紹介します。


チャーチとは
プラダ傘下となる前の、90年代以前のチャーチを『旧チャーチ』と呼びます。
今回の記事では、それなりにサンプル数が確保できる2都市・3都市に限って紹介していきます。




CHETWYND

チェットウィンドは素直なフルブローグモデル。ラストも旧チャーチの定番と言える73ラストです。現行でも盛んに売れているモデルで、定番スタイルの強さを感じますね。
モデル名はおそらくイギリス・シュロップシャー州にある地名から採られたものだと思われます。ちなみに地名から採られたモデルというのは英・米・仏など各国の靴ブランドで共通してみられる命名法です。アッパーはカーフです。同じスタイルでブックバインダーにしたものが“BURWOOD”ですが、こちらもよく見られます。
英国靴好きなら見慣れたサイドスタイル。50年以上定番の地位を保っているだけに、これこそが完成されたスタイルなのでしょう。
3都市で出てくる靴の体感3~4割くらいをチェットウインドとバーウッドが占めているように思います。それくらいメジャーな存在です。




LEGATE

レギトゥは素直なクォーターブローグモデル。モデル名のlegateは(将軍・総督の)補佐官を意味する単語で、CONCULやDIPLOMATと同じく役職シリーズのモデルです。つまり、チャーチも公式的にメインに位置付けていたモデルのひとつでしょう。アッパーはブックバインダーカーフです。
現行ではCONCULとDIPLOMATが大きい顔をしているように思いますが、3都市ではレギトゥが圧倒的によく出てきます。この年代はローファーでもブローギングマシマシのモデルが多々出てきますので、ブローギングをつけるならフルブローグ、キャップトゥならパンチ付きが好まれたのかもしれません。
尤も、たまたま私の手元にレギトゥばかり来るのかもしれませんが(笑)。
サイドはお馴染みの英国スタイル。ヒールカップにはブローギングが無く、すっきりとした後ろ姿です。
レギトゥは3都市では頻出モデルですが、2都市では見たことがありません。



JERMYN

ジャーミンはシンプルな3アイレットダービーシューズ。
ジャーミンと言えばロンドンで一流ブランドが立ち並ぶ、かのジャーミンストリートのことで、チャーチ側も代表的モデルと位置付けていたのではないでしょうか。ラストは定番の73、アッパーはカーフです。
特に2都市でよくみられるモデルで、3都市でもほぼ見かけませんので、主な流行は70年代かと思います。同じスタイルの3アイレットダービーシューズはクロケットアンドジョーズでも多く見られ、古の英国では紳士靴と言えば3アイレットダービーだった時代があるのでしょう。





HOLBORN

ホルボーンは、サイドラインが特徴的なフルブローグシューズ。現行ラインナップにはないモデルだと思います。
モデル名はおそらくロンドン中心部カムデン・ロンドン特別区にある地名から採られたもの。アッパーにはブックバインダーカーフを採用しています。
サイドは英国らしいショートウイングに、曲線を描くブローギングが非常に特徴的。このデザインからウイングを取り除いてプレーントゥとしたモデル“ALDWYCH”もしばしば見られます。954ラストという廃番となったラストで吊られています。73ラストと比較するとヒールカップが浅めで、すっきりとして印象を受けます。ほかに954ラストのモデルは見たことがありませんが、採用はあるのでしょうか。
この意匠は現行の既成靴ではほとんど見ることができず、まさに当時の流行であると考えられます。しかし流れるようなデザインは現代で見ても美しく、足元をワンランク優雅に仕立てあげてくれる素敵なモデルです。
2都市で特によくみられるペアで、2都市~3都市初期まで、大体70年代~80年代前半の流行ではないでしょうか。



すび

いかがだったでしょうか。
ファッションアイテムでは、例えばシャツでは襟の形など、特徴的なディテールが年代推定のヒントになったりしていますが、同様に靴の世界でも年代推定の手掛かりになり得そうですね。そうでなくても、過去の靴の雰囲気をとらえることで、ビンテージコーデの空気感づくりの参考にもなるのではないでしょうか。
過去の英国の華やかな空気を感じ取ってもらえたら幸いです。

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