【ロゴ変遷】
CHURCH’S

 


英国ビン靴の優等生。


こんにちは、桜木です。
本日は人生初の高級靴だった方も多いであろう、チャーチのロゴ変遷を見ていこうと思います。


ャーチとは?
1873年創業の、英国を代表する靴ブランドのひとつで、正統派の靴づくりで評価の高いブランドです。靴作りの町として有名なノーサンプトンに本拠地を置いています。​経営難から2000年にPRADAに買収されており、現在はブランドの1部門として伝統的な紳士靴からモード系なモデルまで幅広くラインナップされています。
かつては品質の割に価格が安く、“英国の良心”とも呼ばれ高級紳士靴入門の定番でした。しかし現在はかなり価格が上がったため、どの購買層に勧めればよいのか迷うブランドです。





市なし

市井で見られる最も古いチャーチ。俗に60年代以前と言われており、半世紀以上前のまさしくビンテージ靴です。さすがにここまで古いと、現行とは違ったディテールが楽しめます。


ロゴは楕円の中にCHURCH’Sの文字。ロゴは現行の斜字体ではなく、セリフ体の古めかしいものですが、基本的な形状は現行と変わりません。現行のロゴでは楕円の下に支店がある都市がずらずらと並んでいますが、この当時は表記がなかったため“都市なし”と呼ばれます。
都市なし期のペアとなると滅多に見ることができず、多少のクラックがあっても3万を超えるくらい相場も高めです。ちなみにこれまで私が手にした都市なしチャーチは計4足です。部屋の壁1面靴棚にするようなマニアでも4足しか見たことが無いということです。



市なし?

見慣れたロゴがデーンと鎮座したチャーチ。弾数が非常に少ないため年代ははっきりしませんが、可能性があるとすればセリフ体ロゴからこの斜字体ロゴへの移り変わりの時期でしょうか。要は新ロゴのお披露目用ではないかと推察しています。
都市なし期のペアの中にも斜字体のものが存在することから、製造はおそらく都市なし期、60年代だと思われます。(詳しくは記事最後の出典を参照ください)
これまで2足見たことがありますが、いずれもかなり質のいいブックバインダーカーフで、2都市同等かそれ以上の質の高さは期待できます。しかし狙って探すの困難かと思います。



2都市

ロンドンの本店に加えて、ニューヨークが刻印されたロゴ。2つの都市が並んでいるので2都市と呼ばれます。New Yorkへは1930年代には進出していたようで、ロゴの刷新と支店の進出はタイミングがずれています。
1976年購入で2都市のモデルとの情報があるため、遅くとも76年には2都市ロゴ並行していたことになりますが、実際にはもう少し早い時期だろうと思います。チャーチは1965年にエリザベス2世の訪問を受け輸出力に対して女王賞が授与されているようで、このあたりを契機にNEW YORK表記が増えたのではないでしょうか。となれば60年代末でしょう。

カーフ・ブックバインダーともにかなり質が高く、滑らかな質感が期待できます。運が良ければ現行のジョンロブ既成ラインの中でも当たり程度の質を得られますが、流石にジョンロブでビスポークした方が革質は上です。ただ、ブックバインダーは現行では入手できないかなり高品質の加工レザーですので、どちらかというとブックバインダーを狙った方が旧チャーチならではの魅力があるかと思います。
数は少ないものの、ヤフオクでも常に何かしら出品されている程度には見かけますので入手はそこまで難しくありません。相場はデッドで7~8万くらい、美中古で3~4万くらいでしょうか。



3都市

パリが加わり、都市が3つになりました。2都市から3都市への移行時期は1984年前後と思われます。1984年購入の3都市、また1985年販売モデルで2都市のモデルが確認されているため、恐らくこのあたりが転換点でしょう。(詳しくは記事最後の出典を参照ください)
基本的に2都市と変わりませんが、やはり革の質では2都市に劣ります。1999年まで製造されていただけに非常に弾数が多く、入手は容易です。相場もデッドで5~6万程度、美中古で2~3万と手を出し易いので、古靴入門には非常におすすめです。



4都市

ここからプラダチャーチとなります。ミラノが加わりました。
チャーチは経営難から2000年にフランスの名門ブランド、PRADAに買収され、傘下に入ります。チャーチ史の中でも特に大きな転換点で、この4都市以降を“現行チャーチ”、3都市以前を“旧チャーチ”と大別して呼ばれます。現行と旧チャーチの変更点は多くありますのでいずれ記事にまとめたい……と思っています。
ロゴの面ではまず楕円が2重になりました。メゾン系の煌びやかな空気がちょっぴり加わったような気がします。そして楕円の中から“famous”が取られました。理由は不明ですが、自ら有名と名乗り続けるのもいかがなものかということでしょうか。あとは楕円の上の紋様(?)が変更されました。これも理由はわかりません。



5都市

現行ロゴです。東京が加わりました。4都市から大きな変化はないと思います。


外編

そのほかでよく見られるロゴたちです。
3都市復刻モデルのロゴ。見えにくいですが。楕円の中に“famous English shoes”の表記がないため判別が可能です。また都市表記も文字のポイントが小さく、ちょっと安っぽい仕上がりですね。
大体2011年ごろまで英国で販売されていたもので、シルエットは往年のラストを再現していますが、革質までは再現できないため質では3都市に劣ります。とはいえ新しく、縫製も安定していますので、英国伝統のシルエットの靴をヘビロテしたい方は狙ってみてもいいかもしれません。
レディス靴のロゴ。型押しのチャーチロゴに、“MADE IN ITALY”の表記が入ります。
こちらは金文字プリントのレディスチャーチ。まれにITALY表記のないペアも存在しますが、楕円の中に“famous”の表記がないため都市なしとは区別できます。外国から仕入れたらレディスでかなりい大きいサイズもありますので、勘違いに注意してください。
レディスラインは長らくイタリアで作られていましたが、2020年より製造が一部英国に移ったようで、今後は英国製のペアも出てきそうです。



書きのクセで年代が分かる?

ところで、“達筆すぎて読めない”ことでおなじみのチャーチのライニング表記。
この表記も時代とともに変化してきています。チャーチでは珍しいですが、別注品の年代を推定する際の参考になるかもしれません。
都市なし期から2都市初期にかけてみられる表記。非常に綺麗で、お手本のような筆記体です。こんな文字が書けるようになりたいですね。これに近い表記が出てくると、60年代までの製造と期待できます。
2都市から4都市初期にかけての表記。これはCHETWYNDですが、達筆すぎて読めません。しかし、達筆度合いにも個体差があるため、複数名の達筆家がおられた可能性もあります。この表記だと3都市か、4都市でも初期のものと考えられます。
こちらは比較的に読みやすいKINGSTHORPE。2都市から4都市初期というと範囲が広いのであまり年代推敲のあてにはなりませんが、少なくとも現行チャーチのように固い革であることは少なく、それなりの革質が期待できます。
4都市中盤以降の表記。活字体表記となり、非常に判読がし易くなりました。この頃になるとサイズ感など製品の個体ムラが小さくなってきており、この判読性の高さもある意味生産体制強化の産物と言えるかもしれません。一方で、革の質にはあまり期待できません。

しかし、時期ごとにだいたいの傾向があるというのは考えてみれば面白いことです。
チャーチの工場には、ライニングにモデル名を書く専門の担当が配置されてるのでしょうか。



すび

いかがでしたか。
世界的な店舗進出やプラダへの買収など激動の歴史を辿ってきたチャーチですが、ロゴは楕円の中にCHURCH'S表記と一貫しており、時代に合わせて細部をうまく変化させてきたことがわかります。特にPRADA傘下になってもロゴの大枠が変わっていないあたり、英国を代表する紳士靴ブランドとして評価された結果といえるでしょう。
あのジョンロブですらロゴを変化させている中で、この一貫した姿勢はまさに英国の伝統を守ってきたメーカーと言って差し支えないかと思います。




輝けライフ!
https://kagayakelife.com/2017/12/08/post-1415/
ANATOMICA
http://anatomica-sapporo.com/blog/page/33?s=California&x=0&y=0
UNIONWORKS
http://unionworks.blog118.fc2.com/blog-category-18-4.html
Illminate
https://ameblo.jp/illminate/entry-12336786925.html
靴aholic
https://ameblo.jp/yatta0321/entry-12566245889.html?frm=theme

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